「何故、サプリメントを飲みますか?」
この質問にあなたならどう答えるだろうか…ある調査の結果だが、一番多かった答えは…
「効果・効能を期待する」
だった。
やはり多くの人は「元気になりたい」「綺麗になりたい」「健康でいたい」「少しでも若くなりたい」「長生きしたい」などの目的でサプリメントを利用している。
さて、本当にサプリメントを試している人は、試していない人より、元気で、綺麗で、健康で、若くて、長生きしているのだろうか…もしそうだとしたら、サプリメントで医療費や介護費を減らせるのではないだろうか…
「サプリメントで医療費や介護費が減らせるのか!?」
を検証するのであれば、統計を出せる市や国などの公の機関の協力が必要だろう。サプリメントごとき(国は健康食品という言葉は未だに使わない。「いわゆる健康食品」と呼ぶ。)でそんなことは夢のような話だ…
しかし数年前、実際に埼玉県坂戸市が、この疑問に答えを出してくれるようなプロジェクトを行った。
坂戸市では、女子栄養大学の研究を活かし、同大学と協働で認知症や脳梗塞等の予防に効果があるといわれるビタミンB群の一種である葉酸(ようさん)を1日400マイクログラム摂取する運動を進めた。
厚生労働省が定める食事摂取基準では、日本の成人の1日の推奨量は240マイクログラムとされているが、日本人の約15%の人は、遺伝子の関係で、体内で葉酸を活用する能力が低くなっているそうだ。
遺伝子的に葉酸を代謝しにくい体質の人でも葉酸を1日400マイクログラム摂取することで十分な効果があることがわかってきており、坂戸市では、成人の1日の摂取必要量を400マイクログラムとし、できるだけ野菜などの自然の食品から多く摂取するように呼び掛けたそうだ。
更にこのプロジェクトのすごい所は、自然の食品のみで1日400マイクログラムの葉酸を摂取することが難しいという人もいるので、足りない分の葉酸を補うため、坂戸市と女子栄養大学、民間企業と共同で葉酸を添加した食品開発(パン、ドレッシング、卵、かりんとうなど)を進めたという。
葉酸は、ホウレンソウ、ブロッコリー、えだまめなどの緑色野菜、えのきだけ、緑茶などに多く含まれるビタミンB群。
タンパク質や細胞新生に重要な役割を担って、細胞増殖が盛んな胎児が正常に発育するために必須なビタミン。葉酸を十分に摂取することで神経管閉鎖障害の発症リスクを低減することができる。
その他にも
という働きがある。
医療費と介護費を2年間で約22.3億円節減
素晴らしい結果だ。
しかし
「葉酸のおかげではなく、野菜を多く食べたからだ。」
「葉酸は子供の発育には効果があるが、成人には効果がない」
「摂り過ぎるとガンになる」
などと批判の声もあがっているようだ。
どのような理由であれ、市の統計で医療費と介護費が減ったのは事実だ。それが葉酸のおかげ、野菜のおかげ、サプリメントのおかげなのかどうでもよい。
現在、日本には1500以上の市区町村がある。1500×22.3億円=3兆3450億円。単純計算だが、2年間でこれだけの医療費、介護費を節減できる可能性がある。
年間約50兆円もの医療費、介護費になっている日本で、国をあげて行う価値は十分ある。
<筆者>NPO法人日本健康食品科学アカデミー 滝浪 周