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「食と健康」に向かうドラッグストア(前編) ドラッグストア業界の今後の行方 〜コロナ禍を通じて発生した大変革③

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ドラッグストアの新たな成長軸「食と健康」

筆者は15年近くリテイル専門の記者、とりわけドラッグストア周辺を積極的に取材してきた。15年前のドラッグストアと今のドラッグストアを比較すると売り場が進化してきたことを実感する。前回及び前々回でも書いたが、ドラッグストアは商圏環境の変化と業態の垣根を越えた出店加速により狭小商圏における競合を余儀なくされ、薬屋という業種から生活の利便性を高めるという業態に成長を遂げた。その原動力となったのは、スーパーマーケットやホームセンターからのラインロビングだった。

その後、スーパーからのラインロビングをドラッグストアよりも一足先に実施し、そればかりではなく付加価値を提供しながら高粗利を得ていたコンビニエンスストアとガチンコの勝負、さらには狭小商圏対応型フォーマットに遅れて参入したスーパーマーケットが登場し、現在は三つ巴となっている。

そんな中、ドラッグストアに向けて新たな風を巻き起こそうとしていた人物がいた。それは、日本チェーンドラッグストア協会で当時事務総長をしていた宗像守さん(故人)だった。同氏は、ドラッグストアの狭小商圏化対応を業界の誰よりも推進するのと同時に、2009年に施行された改正薬事法の中に登録販売者という新たな一般用医薬品の専門家を誕生させ、ドラッグストアの既得権を死守するなど、ドラッグストアの成長に人生を賭けた男だった。

宗像さんが次に目をつけたのが「食と健康」というキーワードだった。機能性表示食品制度がスタートしたのは2015年。宗像さんは「ドラッグストアは、スーパーマーケットなど異業態からのラインロビングで成長を遂げたと言っても過言ではない。それに対応できたスピード感はドラッグストアの強みであるのは間違いない。だが、歴史を振り返るとドラッグストア自らが育成してきた市場は、皆無だ」と話し、機能性表示食品を中心としたサプリメントや加工食品でマーケットを形成し、異業態に真似できないヘルスケア中心の「食」を提唱し、それを「健康」と結びつけることで、ドラッグストアが担う“街の健康ハブステーション”を推進していくのが狙いだった。

「食」と「健康」のクロスマーチャンダイジング

宗像さんが提唱した「食と健康」は、業界専門紙を中心とした多くのマスメディアから取り上げられ、「何かが起こる」という雰囲気を醸成させていった。前回、「サプリメントや健康食品、健康訴求が可能な一般食品を活用し、『食』と『健康』をリンクさせることが重要だ」と書いたが、その考え方は宗像さんが提唱した内容と一致する。

ドラッグストアがまず手を付けたのが、ラインロビングしてきた食品と主に機能性表示食品のサプリメントや加工食品を組み合わせて販売することだった。つまり、前者と後者のクロスマーチャンダイジングである。

例えば、ビールや缶チューハイ、つまみを購入する来店客がいたとする。その際に、肝機能改善や栄養バランスを整備するために「このサプリメントはどうでしょうか?しかも、機能性表示食品でエビデンスは担保されていますよ」と飲料や加工食品売り場とサプリメント売り場をリンクさせるような仕組みを導入する。

さらには「ビールや缶チューハイを飲むのだったら、機能性表示食品のアルコール類似飲料があります。そして、つまみに関しても低糖質かつ高タンパクの加工食品もどうでしょうか?」と、ヘルスケア業態であるドラッグストアならではの売り場訴求を実施する。

上記がクロスマーチャンダイジングの一例である。こうした手法は、来店客の「どうせなら体に良いものを」というニーズに応えながらも、継続したヘルスケア意識の向上のモチベーションとなる。ドラッグストアにとっても、売価が少し高くなり、手に取ってもらうための工夫が不可欠だったが、通常の食品のみを購入されるよりも、高い粗利率を得ることができるため、まさにWin-Winだったと言えよう。

まだまだ甘い部分があり、クロスマーチャンダイジングが仕切れていない部分もあり、数え切れないほどの失敗例はあったにせよ、ゆっくりと着実に進んでいる「食」と「健康」の融合。一人の記者として業界に密着し、取材をしていて、このようなことを実感するここ数年だった。

流通ジャーナリスト=佐藤健太

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