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「食と健康」に向かうドラッグストア(中編)ドラッグストア業界の今後の行方 〜コロナ禍を通じて発生した大変革④

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新型コロナウイルスの流行とドラッグストア

ラインロビングしてきた食品と大切に育成してきたヘルスケア商材の融合が推進され、ドラッグストア店頭に「食と健康」が根付きつつあった2020年。新型コロナウイルスの流行により、日本ではリテイル業界だけではなく、多くの業界に大打撃を与えた。

新型コロナウイルスが中国・武漢で発生した当初、ドラッグストアは大きな悲鳴をあげていた。その理由は「インバウンド需要の皆無」である。2020年1月には約270万人いた訪日外国人が、2月には約100万人、3月には約20万人と激減し、4月には限りなく0人に近づいた。これによって、インバウンドというドラッグストアの成長するための柱の1つが、大きな音を立てて崩壊した。

多くのドラッグストア経営者は、インバウンド需要に対して楽観的だった。中国や韓国との国際問題によって多少は増減したが、それ以前の5年間で訪日外国人が急増していた。それに伴って、ドラッグストア業界は大きな躍進を手にした。

大手からローカルチェーンまで多くの経営トップを取材し、「インバウンドはいつまで続きますかね?」と聞くと、「分からないが、当面は続くだろう」と希望的観測ばかり口にする経営トップが大半だった(中には「インバウンドには頼らない。他社がそこに夢中になるならば、その間、当社は日本のお客さま、地域のお客さまからの支持を確固たるものにする」と話す経営者もいた)。「では、インバウンドが急になくなってしまったら?」と再度質問すると、口を揃えて「地域密着」と話す。この地域密着とは一体なんなんだ、どのように定義しているのか…。聞いてもぼんやりとした回答しか得られない。つまり、無策なのである。

今まで出会ったドラッグストア経営者の中で、「地域密着」をきちんと定義し、それを戦略として店頭まで落としている人は、たった一人だった。北九州市を中心に展開している某ドラッグストア企業の社長だけが、詳しく、そして熱く「地域密着」について語ってくれた(店頭に立つ人材にも大変役に立つ考え方なので、機会があればその方の戦略を紹介したい)。

2020年1月〜3月はドラッグストア業界まれに見る凄惨な月次速報が連なった。それは無策だったこともあるが、企業が肥大化したことによる現場対応の遅さも原因だったと振り返る。

ドラッグストアの三大要素で返り咲いた

2020年4月、日本は初めての緊急事態宣言を全国に発令した。さらには感染を予防するためのマスクや消毒液、ハンドソープを買い求める客がドラッグストアに押し寄せた。一時期はマスク50枚や消毒液がフリマアプリで数万円でも売れてしまうほど品薄になり、「どうにかして手に入れたい」とドラッグストアが開店する数時間前から店頭に列をなす来店客も出て、ドラッグストアでの買い物が社会現象になるほど多くのメディアが報じた。インバウンド需要を失って、右往左往していたドラッグストアにとって、これが起死回生の一打となった。 

これまでドラッグストアにあまり来店しなかった客層が、来店することによって「ドラッグストアで予防グッズが買える。さらにスーパーマーケットのような使い方ができる」ということを広く世の中に知らしめることができたからだ。コロナ禍において、買い物におけるエンドユーザーのニーズは「ワンストップ性(一箇所で買い物を済ませられる)」「ショートタイム性(時短購買)」「ヘルスケア性(予防分野のニーズに対応)」という三大要素があり、ドラッグストアはこの全てに対応している業態として、かつてないほど支持を拡張した。

この連載記事でも1回目から3回目まで、全ての記事に書いているが、ドラッグストアがこれまで実施してきた「狭小商圏への対応」と「ラインロビング」、そして「食と健康の推進」が、新型コロナウイルスの流行という、思わぬところで花を咲かせたのだった。

コロナ禍においても、ドラッグストアは出店攻勢をかけ続けるのと同時に、ラインロビングと「食と健康」を加速化していった。例えば、これまで加工食品を中心にラインロビングを実施してきたが、それだけにとどまらず生鮮三品(青果・鮮魚・精肉)や惣菜を導入し、本格的に鮮度管理に取り組む企業も今では珍しくなくなりつつある。さらにはローカルチェーンのスーパーマーケットを買収し、人材と設備を補強することでより食品を補強したり、自社でプロセスセンターを作り、将来の販管費減を目指す企業まで出てきた。

「数年前のドラッグストアの再来。飛ぶ鳥も落とす勢い」と評するベテランの業界記者もいたほどに、ドラッグストアはコロナ禍を強く勝ち残った。

流通ジャーナリスト=佐藤健太

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