2015年4月から始まった機能性表示食品制度は、受理品目数が300超になり、生活者への認知も進んできた。シリーズ:機能性表示食品とはでは、制度の内容、米国と我が国の制度の違い、利用者のメリット、今後の動向などについて詳しく記載。
機能性表示食品制度が2015年4月よりスタート。同制度は、生活者が健康上の目的に沿って選択できる製品を増やすことを狙いとしている。これまで特定保健用食品(以下トクホ)と栄養機能食品に限って認めていた機能性表示の対象を広げた。
機能性表示食品制度は、消費者の誤認を招かないことや、購入者が自主的かつ合理的な商品選択をするために有効な表示制度。
➀安全性の確保
②機能性表示を行うにあたって必要な科学的根拠
③適正な表示による消費者への情報提供
3つの柱からなる。
健食・サプリメントだけでなく、一般の生鮮、加工食品も機能性がうたえるカテゴリーの範囲が広い新制度。機能性表示食品の認知・普及は、我が国の医療費削減、健康寿命の延伸にも大きく貢献するものと期待されている。
機能性表示食品制度は、1994年に米国で施行された「ダイエタリーサプリメント健康教育法」(DSHEA)を参考に、消費者庁がわが国独自の考え方も盛り込み、制度としてつくった。
国が審査するトクホよりハードルが低く、事業者が安全性、機能性を示す臨床試験や研究論文などの資料を消費者庁に届け出れば、機能性の表示が可能になる。届け出が受理されれば、60日後以降に販売できる仕組み。
2015年4月に受付が始まり、6月に第1号商品が発売された。機能性表示食品として同庁が受理した品目数は、2016年5月末日時点で300超になっている。
消費者庁が、安全性、機能性について、事業者が届け出た臨床試験や、研究論文などをホームページで公開するのも制度の特徴。
しかし、課題も指摘されている。公開情報は、専門用語や英語の論文が多く
「消費者の疑問に応える国の窓口が必要」
とする声も専門家の人達から聞こえてくる。信頼性に疑問符がつく製品があると指摘する専門家もいる。
事業者からは、届け出から受理までの時間がかかりすぎるのも課題として挙げられている。そこで消費者庁は、当初ペーパーによる届け出方法を採用していたが、2016年4月1日に、機能性表示食品制度の届出データベース(ウェブ上での届け出)の運用を開始した。
併せて2016年3月31日付で届出ガイドラインを一部改正した。さらに届出マニュアルの公表、届出書作成にあたっての「留意事項」「確認事項」も改正し、作業のスピードアップを目指している。
しかしその一方で、生活者や専門家などから同庁や企業に寄せられた疑問の声は公表されておらず
「現状、情報提供が不十分で消費者に自己責任を求めるのは難しい」
と指摘する消費者団体もある。
<筆者>NPO法人日本健康食品科学アカデミー 大川 善廣