規制改革実施計画及び日本再興戦略(平成25年6月14日閣議決定)で一般健康食品の機能性表示を可能とする仕組みの整備が示されました。
我が国の機能性表示食品制度は、1994年に米国で施行された「ダイエタリーサプリメント健康教育法」(DSHEA)を参考に、消費者庁がわが国独自の考え方も盛り込み、制度化しました。
機能性表示食品制度は、我が国の医療費削減、健康寿命の延伸にも大きく貢献するものと期待されています。
米国は、「サプリメントの製造・包装・表示または保管を行う者は、FDA(米国食品医薬品局)の cGMPに従い、製品の品質と安全性を確保しなければならない」としており、これを義務付けています。こうした取り組みで、現在、米国のサプリメント市場は、日本円で3兆2000億円まで拡大しています。
FDAは製造施設の査察を行います。米国ではcGMPを取得していないサプリメントは、販売禁止措置が取られています。(cGMPは、日本のGMPよりも厳しいといえる安全基準に基づく製造・品質管理手法です)
我が国の産業界を取り巻く厳しさは、国内競争だけではありません。TPP(環太平洋パートナーシップ)もそのひとつです。TPPの事情に詳しいアイウイッシュ代表取締役でファイナンシャルプランナーの原彰宏氏は、「TPPが及ぼす影響」について、次の3点を挙げます。米国の狙いは、
➀国境を超えた三角合併
②医療:混合診療、介護、株式会社による医療事業(病院経営など)の認可
③教育:海外の大学が日本にブランチを置くこと
同氏は、「米国の一番の圧力団体は、製薬業界と指摘したうえで、TTPで日本の医療は、2極化する」と強調します。
TPPの締結によりヘルスケア分野では、”黒船”(外資製薬企業、小売業)の日本市場参入で製薬企業を始め、一般食品など様々な業界がM&Aや資本・業務提携を迫られる可能性があります。ヘルスケアの分野では、製薬とともに、健康食品業界も同様です。外資企業は、日本市場開拓の為の準備に余念がありません。
一方、TPPの内容で現在、参加国でくり返し議論されているのが、ISDS条項です。これは日本市場への参入企業が投資先の国の国内法によって、損害を受けたと判断した場合に第三者機関に訴えることができるというものです。
我が国の医薬品、健康食品などヘルスケア産業も、国内に加え、海外企業との競争にもさらされる時代がいよいよやってきます。
筆者:NPO法人日本健康食品科学アカデミー 大川 善廣