前回の「シリーズ:機能性表示食品とは②」では、米国でのサプリメントの機能性表示に関して、機能性表示食品によって日本の店頭ルートがどのように変わるのかなどに触れた。
今回はシリーズ最終第3回目。
機能性表示食品の市場拡大が期待されるなか、効果が表示できるトクホ商品は
「機能性表示食品との違いが分かりにくく、トクホ市場は減少するのでは」
といわれている。
これを裏づけるように、5月26日に開催された消費者庁の「第5回機能性表示食品制度における機能性関与成分の取扱い等に関する検討会」でトクホと機能性表示食品の届け出数を発表している。
それによると、新たに機能性の表示が可能とされた平成27年の食品数は、トクホ92に対して機能性表示食品は273と約5倍になっている。
ここで機能性表示食品の販売チャネルとして期待されるDgSの取り組みを見ると…。
DgS(ドラッグストアー)業界の業界団体JACDS(日本チェーンドラッグストア協会)とともに、機能性表示食品で新たな市場創造に取り組む「健康食品市場創造研究会」は、機能性表示食品で最も重要なものの一つとして業界標準商品体系作りを掲げている。
関連団体の「ドラッグストアMD研究会」での実績を踏まえ、標準商品体系を構築、JACDSの会員に情報提供を開始している。
健康食品の業界標準商品体系については、商品、カテゴリーの増加が予想されることから、今後も順次、追加、充実したものにしていく方針。DgS業界は、製配販の連携で、1兆5000億円超の新たな市場創造を目指している。
健康食品のカテゴリーでは、これまで業界標準商品体系がなかった。業界標準商品体系は、部位別、構造別、機能別など、製配販が共通して使用できるものを目指す。
機能性表示食品に関心の高い購買層は
「日米共通したものがある」
という面白い調査結果が出ている。
「健康食品市場創造研究会」の講師も務める一般社団法人国際栄養食品協会天ケ瀬晴信理事長(在日米国商工会議所ダイエタリーサプリメント小委員会委員長)は、米国ではサプリの3つのマーケットリーダーとして
①40歳以上 ②女性 ③高学歴(高収入)
をあげている。同氏は、「このマーケットリーダーを考えてみた場合、わが国にはこの3つが揃っている」と語る。
国・人種を問わず
「健康食品、サプリメントに対するニーズは同じ」
と思わせる結果がわが国でも出ている。朝日新聞社の2014年「女性に関するメディア接触生活意識調査」によれば、機能性表示食品を牽引する消費者像は
①女性 ②40~50代 ③高学歴 ④高所得 ⑤主婦層
となっており、米国とほぼ同様の結果になっている。
現在、消費者庁の「機能性表示食品制度における関与成分の取扱い等に関する検討会」で、食事摂取基準に基準が設けられている栄養成分(ビタミン・ミネラルなど)について機能性表示食品制度の対象とする必要性があるかどうか。
そして機能性関与成分が明確でない食品の取り扱いについての2つの課題について、専門家、消費者団体、業界団体などの関係者が参加、議論が行われている。
検討会は2016年秋まで行われ、最終的な判断が示されることになっている。
機能性表示食品は、安倍政権の成長戦略の中で、輸出品目としても有望視されており、既に東南アジア諸国からも熱い視線が注がれている。
<筆者>NPO法人日本健康食品科学アカデミー 大川 善廣